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古代ローマの失われた技術の謎が解明される | アメリカの考古学者たちがローマの建築物が2000年以上無傷で残っている理由を発見か?

古代ローマは優れた建築技術を誇り、約2000年前にイタリアを中心に巨大な帝国を築き上げた偉大な帝国です。

しかしその建築技術の大半はローマ帝国の滅亡とともに失われてしまい中世に受け継がれることはありませんでした。

その中でも最大の謎とされてきたのがローマのコンクリートです。ローマンコンクリートととも呼ばれるこのコンクリートは、非常に固く、数々の地震や天災にも負けず、2000年以上経った現在でもほとんど無傷で残っています。

なぜ、ローマの建築物はほぼ無傷で残っているのか

ローマの中心部にある神殿「パンテオン」もその内の1つです。118年から128年にかけて、ローマ皇帝ハドリアヌスによって建造された2代目の「パンテオン」は数々の地震にも耐え、ほぼ建造当初の姿を残しています。この秘密は古代ローマのコンクリート技術にあります。通常のコンクリートの寿命が50年から100年である一方で、古代ローマのコンクリートはおよそ2000年以上の寿命があるために現在までその姿を留めているのです。

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古代の港に併設されたローマの防波堤はさらに興味深い存在です。

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通常海水に浸かっているコンクリートは寿命がさらに短く、20〜30年でボロボロになってしまうのに、古代ローマの建造した防波堤は現在でもほぼ無傷で残っているのです。

ローマン・コンクリートの製法について

今回その謎を解明しようとしたのはアメリカのユタ大学の考古学者たちです。

ローマン・コンクリートの製造には、石灰岩、火山灰、そして塩水を混ぜて硬化させます。これはポゾラン反応と呼ばれるものです。これはコンクリートの内部に結晶を発達させることで強固な構造を作り出すと考えられています。

これは自然界で、凝灰岩が生成される過程と似ています。おそらくベスピオス火山など、火山を観察する機会の多かったローマ字たちが自然から学んだのでしょう。

しかしこれだけでは説明は不十分です。防波堤は常に強い波に晒されるため、細かい亀裂が大量に発生します。このため通常のコンクリートは数十年でダメになってしまうのです。

驚くべきことに、ローマン・コンクリートは硬化した後に亀裂が発生しても、再び結晶が発達しコンクリートの傷を塞いでいたことが判明したのです。

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http://ammin.geoscienceworld.org/content/102/7/1435

これは現代のポルトランドセメントでは起こらない現象です。亀裂を塞ぐことができないのでそこからコンクリートの崩壊が始まり、非常に寿命が短くなるのです。

失われた技術、ローマン・コンクリートが現代に蘇る

研究チームは失われた技術であるローマン・コンクリートを現代に蘇らせる試みをしました。それはサンフランシスコ湾の海水とアメリカ西部の火山灰からローマン・コンクリートを作り出すことです。もしこの実験がうまくいけば、人類は再び2000年以上残る強固な建築を作り出すことが可能になります。それは失われた古代ローマの技術を再び取り戻すことです。

おまけに製造に当たって大量の温室効果ガスを排出するポルトランドセメントと異なり、ローマン・コンクリートは非常にエコであることが予想されています。

古代ローマ人がどのようにして、優れたコンクリートを製造していたかは今でも不明ですが、最新科学の力によって現代に蘇ろうとしているのです。

参考:

www.telegraph.co.uk

Phillipsite and Al-tobermorite mineral cements produced through low-temperature water-rock reactions in Roman marine concrete | American Mineralogist

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